化学物質過敏症について

化学物質過敏症は、症状が重度の方から軽度の方、一時的に化学物質過敏症になっている方などさまざまな症状の形があります。
重度の方になると、シックハウス症候群よりも症状は重くなります。
シックハウス症候群だった人が化学物質過敏症になるケースが多く、一度発症すると一生気を付けて生活しなければならなくなります。

化学物質過敏症(以下CS)で一番身近なものは花粉症です。
去年まではなんともなかったのに、今年いきなり花粉症になった!という人も多いでしょう。

花粉症は、そのシーズンを過ごせば症状が治まりますが、重度のCS患者さんの場合はそうではありません。

病院、歯医者に行けない。
介護ヘルパーのにおいに反応してしまう為、介護にも来てもらえない。
食材にも反応してしまう。
ガスコンロのガスのにおいに反応してしまう。
インクのにおいにも反応してしまう。

CSを発症してしまうと、仕事ができなくなったり、入院さえままならなくなったりし、食べ物にさえ苦労してしまう可能性もあるのです。

シックハウス症候群の場合は、「現在住んでいる場所の汚染がひどい」という状況であり、住んでいる家から引越しをするか正しいリフォームをして建材を変えるかすればなんとか暮らしていける場合が多いのですが、重度のCS患者さんは、微量の化学物質で体が反応してしまうので、体が反応してしまう対象が多すぎて引越しだけでは対処しきれません。

CSを治そうとしてはじめに思いつくのは
・田舎に引越ししよう
・自然建材、無垢の木を使った家やそれらの素材を使ったリフォームをしてみよう
ということなのですが、これらは安易におすすめできません。

田舎の家でも、築20~30年の住宅はシックハウスの建物ばかりであり、自然建材や無垢の木からも、天然の化学物質が出ていることがあるからです。

木は成長するときに、害虫から自分の体を守るために、さまざまな天然の化学物質を出します。

このなかには、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドもあります。
新しい木材ほど揮発濃度が濃くなります。
昔の住宅は、現代の住宅よりも気密性は低かったので、揮発濃度が薄くなるスピードも速かったのですが、気密性が高い現代の住宅で木材を使った板張りを行う場合は気を付けなければなりません。

お部屋の大部分をスギ、ヒノキ、パイン材などの木材で板張りにすればきっとCSが治るだろうと思いリフォームしたのに、住んでみると思った以上ににおいがきつかったため、結局住めなかったという話もあるようです。

そして、アレルギー持ちの人やアトピー性皮膚炎の人が、アレルギーやアトピーにはヒバがいいと聞きお部屋をヒバの板張りにして失敗したというケースもあります。
ヒバからはヒノキチオールという化学物質が出ているので新しい別の症状が発症してしまったり症状が悪化してしまったりしたというお話を聞きます。

スギ、ヒノキ、パイン材は針葉樹木材なのでにおいがきついということを事前に知っていれば、ヒバからはヒノキチオールが出ているということを知っていれば、このようなことにはならなかったでしょう。

CS患者さんは、とにかくにおいに敏感です。
内装を木材ばかりにすることには注意が必要だということですね。

 

重度の化学物質過敏症患者さんには漆喰はおすすめできません

その理由には、漆喰を壁に塗る際に必要になる糊(のり)が関わってくるのですが、糊の種類は大まかに分けると天然糊と化学糊があります。

シックハウス症候群の方の場合は、ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)を避けるために天然糊を使った方がいいと書きましたが、この天然の糊は、はじめにきつめのにおいが出る傾向にあります。
重度のCS患者さんはにおいに敏感な方が多く、この天然糊のにおいに反応してしまうことがあるようです。

においを抑える漆喰の配合をする場合、天然糊よりも化学糊の方がいい場合もあります。
天然糊はにおいが落ち着く期間が長めです。接着剤(バインダーなど)を使う場合は、塗った当初はにおいがでてきますが、乾燥すればほとんどにおわなくなります。

シックハウス症候群やCSというのは人によって症状がさまざまです。
そのため、トータルで見てにおいを減らした方がいいのかVOCを減らした方がいいのかを考える必要があるということですね。

糊だけでなく、漆喰そのものにもにおいはあります。
主原料の消石灰は、多少ですが石のようなにおいがします。時間がたてばにおいはなくなっていくのですが、重度のCS患者さんはこのにおいに反応してしまうケースがあるようです。

この項では、化学物質過敏症についてお話ししました。

今までに、シックハウス症候群やアレルギー、ぜんそく、アトピーなどについてもお話ししてきましたが、これらの要因は人によって原因が本当にさまざまなので、症状を改善するための方法は一つではないと思います。

発症の原因に共通点があるとすれば、新築のお家、リフォームしたてのお部屋に危険が潜んでいるといえます。
天然素材のお家、無添加住宅が安心安全と思いきや、これらのお家でさえ、木からでる天然の化学物質によってCSを発症してしまう例もでています。

においに敏感な人や、自分がCSやシックハウス症候群かもしれない!と思う人は、新築のお家に入る前に、少し時間を置くことをおすすめします。

リフォームする場合も、リフォーム中はその部屋に入らなくてもいい環境を作っておくといいでしょう。

CSやシックハウス症候群、アレルギー性鼻炎などのアレルギー、アトピー性皮膚炎などアトピー、ぜんそく等になっている原因は全く異なるのではなく、関わりあっているということがわかっています。

やみくもに「天然素材はいいものだ」という認識を持たずに、トータルで見て一番自分に合っている素材は何か、と考えた方が得策です。

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