なぜ今漆喰が再度注目されているのか

金沢城と芝生

現在、日本の住宅の内壁は約95パーセントが塩化ビニールクロスです。
自然素材を内装に使ったお家は5パーセント未満となっています。

一方、アメリカでは天然素材と塩ビクロスの比率が20対1です。
これは、日本とは真逆の数字です。

漆喰はヨーロッパやアラブ、アメリカなどでは今でも多く使われています。
それだけでなく、海外の世界遺産に登録されているような歴史的建築物には漆喰が使われていることが多いです。
日本でも、姫路城などのお城の外壁や内壁にも使われていますし、その他の国宝建築物、重要文化財にも使われています。

千葉県しっくいリフォーム2

ではなぜ現代の日本では漆喰を塗っている家が少ないのか。
その理由を順を追ってお話ししていきます。

江戸時代

“火事と喧嘩は江戸の華”という言葉がありますね。
当時は今と比べ物にならないくらい火事が多かったといいます。
そこで漆喰の燃えない性質『耐火性』に注目が集まりました。

江戸時代には役職の高い・家柄のいい屋敷にしか漆喰は使われていませんでした。
基本的に漆喰は高級な壁材とされていたためです。

しかし、あまりにも火事が多かったため、一般の家にも漆喰を普及させる政策がうたれました。
(1657年の『明暦の大火』以降だと言われています)
その後、町家や武家屋敷にも漆喰が使われるようになったのです。
このころまでは、日本の家屋の多くに漆喰が使われていたことになりますね。
そしてその後、戦争によって漆喰が淘汰されてしまうことになります。

第二次世界大戦

第二次世界大戦が終わった後、多くの住宅が倒壊してしまいました。
日本は早急に国民が住む家を確保しなければならなくなったのです。

当時はとにかくたくさんの家を
“早く、簡単に、大量に”建てないといけなかったので
建築業界自体が時間のかかる湿式工法から短時間で大量生産できる乾式工法に変わっていきました。

ここで、漆喰は石油系建材やセメントにとってかわられてしまいます。
漆喰塗り壁は湿式工法といって、水を使用し乾くのを待つ作業が必要だからです。

こうして、日本から漆喰が減少してしまったのです。
しかし、近年になって再度漆喰が注目されてきています。

エコブーム・健康志向・シックハウス問題

日本人はこれまでの『新しい物好き、大量消費』の考え方から
『古き良きもの、エコロジー、健康』に目を向けるようになりました。

見栄を張るよりも、自分自身を大切にしたいという考え方になったように思います。
『家や家具にお金をかけるよりも、ブランド物や洋服にお金をかけたい』
という考え方から、
『安くても質のいい洋服を探したり、自分が長くいる空間である“部屋”をよりよくしたい』
という考え方に変わってきたと感じます。

そこで、漆喰(しっくい)が再注目されるようになりました。
・自然素材なので最後は土に還る
・シックハウス症候群・重度ではない化学物質過敏症・アレルギー・アトピー・ぜんそく対策になる
・壁材としての歴史が5000年もある

漆喰は今の時代にマッチしているのです。

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